ごん太の出会い
「おわら」の香り人
平成15年 9月 1日(水)
富山県八尾町で毎年、ご主人さまは友人に会うのを楽しみに、ここ八尾に来るのです。もちろん、ここに集う友人のすべてが「おわら」が好きで、いや好きというよりも「おわら」風の盆に魅せられたもの達なのです。 毎年、ここに来ると、彼らは、ごん太君にも懐かしく挨拶をしてくれるのです。
「風の盆」に来ると、ご主人さまは必ず、夜中に一人で(ごん太君を抱いて)八尾の町を歩くのです。今年は夜中の2時過ぎに、鏡町公民館脇の階段の最上段に腰掛けて、ごん太君を膝に抱いて耳を澄ましています。「地方」(じかた)と呼ばれる「囃子方」が帰ってくるのを待っているのです。虫たちの鳴き声も静かになり、心地良い風に吹かれて、ごん太君の頭を撫ぜながら待っています。
しばらく、待って、「太鼓」が微かに聞こえてくると「あっ、帰ってきたね」と言って、ごん太君の頭を撫ぜるのをやめて、ますます耳を澄ませます。
次に、聞こえて来るのは、「三味線」で、それから、胡弓の音が聞こえてきて、すぐに「高音で繊細な節回しのおわら節」が聞こえて来ます。でも、このときはまだ横丁を流しているので、 あの優雅に着物の裾を割って、ゆっくりと前に出す足の動きを、まだ見ることは出来ません。しかし、ご主人さまの頭の中では、すでに見えているのです。それに、あの胡弓を太ももに持たせて、弦と一緒に胡弓も動かすしぐさも見えているのです。
昼のうちは、車で寝ていて夜になると、また、八尾の町にやってきます。
今度は、あの気持ちいい男踊りとすばらしく優美な女踊りの織り成す舞を見るのです。(もう、何も言いません。ただ、写真をごらん下さい。)
ご主人さまの友達は、集って食事をするときには、「やはり、胡弓の音が一番だね」とか、「男踊りと女踊りのコンビネーションがたまらないね」とか、感動の心から出てくる言葉で語り合うのです。そんなご主人さまをごん太君は、うれしく、誇りに想うのです。
皆さんも、是非、ここに来て、静かに胡弓を心に響かせ、踊りに感動してみてください。
「深夜の町流しが終わって」